「ささいなことでイライラ」「訳もなくイライラ」「そんな自分に対してイライラ」。ひどい場合は吐き気を伴うことも。周囲もつらいかもしれませんが本人の苦痛も相当のもの。
更年期には女性ホルモン「エストロゲン」が急激に減少して自律神経に悪影響を及ぼします。そのせいで自律神経のバランスが崩れて精神的に不安定になりがちです。
我慢を重ねるのではなく、更年期の知識を身につけて適切なケアをすることで本人も周りも楽になりますよ。
目次
「イライラ」の症状と対処法
そのイライラが更年期によるものかどうかの判断は一概には難しいところです。ただ、以前より感情が抑えられなくなったと感じるようであれば更年期障害によるものと考えていいかもしれません。
日常のイライラに対しては次の対処法を試してみましょう。
イライラの対処法
◆ガムを噛んで気持ちを落ち着かせる
イライラしてきたらガムを噛んでみましょう。一定のリズムを繰り返すことによって幸せホルモン「セロトニン」神経が活性化されます。自己暗示でもいいのでイライラからの逃げ道を作りましょう。
◆軽い運動を取り入れて精神面を強化する
体を動かすことでイライラなどの不定愁訴(明確な原因がないのに何となく体調が悪いという自覚症状)を低減してくれる効果があります。
特にラジオ体操はおすすめです。簡単だし、一定のリズムの繰り返しによって幸せホルモン「セロトニン」神経の活性化にもつながります。毎日の日課にしてみてはいかがですか?
fa-youtube:「NHK」ラジオ体操第1
fa-youtube:「NHK」ラジオ体操第2
更年期の「イライラ」の原因を知ろう
更年期のイライラの症状は、自律神経の乱れから生じます。
更年期に入ると、卵巣から分泌される女性ホルモン「エストロゲン」が減少して自律神経に悪影響を及ぼします(更年期障害の基礎知識)。
自律神経には精神を安定させる働きがあり、その働きが乱れることで「イライラ」を引き起こすことが分かっています。
<エストロゲンの減少が自律神経に影響を及ぼすメカニズム>
◆40代に入ると、出産の役割を終えた卵巣が衰弱して「エストロゲン」の分泌量が急激に低下します。
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◆「エストロゲン」の分泌量が低下することで、同じ女性ホルモンである「プロゲステロン」とのバランスが保てなくなります。いわゆるホルモンバランスの乱れです。
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◆ホルモンバランスを正常に保つために、脳内の視床下部がエストロゲンの分泌を促しますが、衰弱した卵巣からはエストロゲンを十分に分泌することができません。
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◆脳内の視床下部は、ホルモンバランスが正常に保たれるまで指令を出し続けることになります。
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◆視床下部には「ホルモンバランス」のほかに「自律神経のバランス」をコントロールする働きもあります。いつまでもバランスが保たれない女性ホルモンに指令を出し続けることで、自律神経が悪影響を受けて自律神経のバランスまでも崩してしまうのです。
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◆自律神経には「体の機能を正常に保つ働き」や「精神を安定させる働き」がありますが、自律神経バランスが乱れることによって正常に機能しなくなってしまいます。
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◆その結果、「イライラする」などの症状が引き起こされる可能性が高まります。
- 循環機能の制御
- 呼吸機能の制御
- 消化機能の制御
- 発汗、体温調節機能の制御
- 内分泌機能の制御
- 生殖機能の制御
- 代謝機能の制御
- 精神安定の制御 など……
更年期の「イライラ」のケア対策
分かっているのに抑えることができない。「ささいなことでイライラする」「訳もなくイライラする」といった症状は、思いのほかつらいものです。
女性ホルモン「エストロゲン」の減少によって引き起こされる「イライラ」。日常生活に支障を来すほどであれば我慢しないで婦人科を受診してみましょう。
食生活を意識する
女性ホルモン「エストロゲン」と似た働きをする食材があることはよく知られています。食事バランスを見直し、これらの食材を意識して普段の食事に取り入れてみましょう。
出典:農林水産省WEBサイト
サプリメントを活用する
仕事・子育て・親の介護など、まだまだ忙しい現代の更年期女性。
ただでさえ体調が悪いのに食事に気を配ることなんてできない場合は、サプリメントも一つの手段です。自分にあった信頼できるサプリメントを選んで。
ホルモン補充療法(HRT)を受ける
減少した女性ホルモンを継続的に維持することで症状の改善を図ります。
婦人科を受診します。治療薬には、飲み薬・貼り薬・塗り薬の3種類があり保険が適用されます。治療中は定期的に通院して検診を受ける必要があります。ホルモン量を継続的に維持することで、閉経後の骨粗しょう症などを予防する効果もあります。
プラセンタ注射を受ける
医療用のプラセンタ注射には更年期症状の治療を目的に保険が適用されます。定期的な医療機関の受診が必要です。
漢方薬で和らげる
漢方は、その人の体質に合わせて症状を調和させることで不調を和らげます。
更年期障害に正しく対応するためには漢方医の診断を受けて正しく服用するのが良いようです。医療機関で処方される漢方薬には保険が適用されます。
ホルモンを意識した生活を……
イライラを含む更年期障害は原因が分かっている症状ですから、我慢しないで適切な対策をとるようにしましょう。楽になりますよ。更年期は人生の折り返し地点。化粧水や美容液を浸透させるのと同じように、体の状態に合わせて自分に合ったお手入れ方法を見つけてみてください。