口が渇く「ドライマウス」、目が乾く「ドライアイ」。一言で「乾く」と言っても、更年期の乾燥感は想像を超えるものです。私もドライマウス経験者ですが、舌が乾くというつらさは言葉では言い表せないほどでした。

 

特に更年期には粘膜の乾燥が顕著になる場合があります。症状が軽度の場合でも放っておくと歯周病の原因になったり、目を傷つけてしまったりすることもありますので早めの対策を心がけましょう。

 

「ドライマウス・ドライアイ」の症状と対処法

更年期のドライマウスやドライアイは「唾液の分泌量が減る」「涙の分泌量が減る」という体の内側からの乾燥が特徴的です。

 

ドライマウス

唾液はなんと1日に1~1.5リットルほども分泌されていて、口の中の粘膜の保護や殺菌などの役目を果たしています。

 

ところが唾液の分泌量は加齢とともに低下していき、更年期に入るとますます減少していきます。分泌量が減ることで舌・口・喉が乾燥して痛みを生じ、水を飲んでも潤わないほどの乾燥感をおぼえます。

 

ストレスや喫煙も助長の一因とされています。

 

 

対処法:あごをよく動かす

 

唾液の分泌量は頑張り次第で増やすことができます。

 

物を食べているつもりで下顎を大きく何度も動かしてみてください。唾液が出てきませんか? 毎食事によくかんで食べるなど意識して顎を大きく動かすことで唾液の分泌量が促進されます。

 

 

 

対処法:口腔保湿剤を使用する

 

口腔保湿剤を上手に利用しましょう。口の中に塗るジェルタイプと、マウスウオッシュタイプがあります。

 

 

 

対処法:モイスチャープレート

 

夜間の乾燥感がひどくて眠れない場合は歯科で相談するとよいでしょう。保水スペースがあるマウスピースのような物で、上顎に装着します。

 

 

ドライアイ

涙といえば悲しいときに流れますが、実は涙腺から少しずつ分泌されていて目の表面を守ってくれています

 

涙の分泌量もまた加齢とともに低下して、更年期に入りますます減少していきます。

 

それに加え現代では、パソコン・スマートフォンの普及、コンタクトレンズの使用などの外的要因により一層助長されています。

 

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対処法:瞬きを意識する

 

瞬きの回数が減ると涙が蒸発して乾燥します。通常、瞬きの平均回数は1分間に20回くらいだそうです。3秒に1回の割合ですね。

 

それがパソコンやスマートフォンを使用しているときには1分間に5回まで減少するそうです。つまり12秒に1回しか瞬きをしていないことになります。

 

12秒間、意識して目を開けたままにしていると「あー乾いてきた」というのが分かります。それを無意識のうちにやってしまっている訳ですね。意識して瞬きをするだけでそのような乾燥を防ぐことができます。

 

 

 

対処法:ブルーライトをカットするアイテムを利用する

 

ブルーライトは波長が短く散乱しやすい性質を持つとされています。そのためブルーライトを多く含む画像はピントが合いづらく、眼精疲労や目の乾燥の原因になりやすいとされています。

 

このブルーライトを多く発しているのがLED照明やパソコン、スマートフォンです。特にパソコンやスマートフォンは目からの距離が近いので影響を大きく受けてしまいがちです。目を守るアイテムを活用しましょう。

 

JIN's オンラインショップ」ではブルーライトをカットするPCメガネ「JINS SCREEN」が販売されています。見た目が自然なクリアレンズはブルーライトを25%カット、少し黄色味のついたレンズは40%カットしてくれます。

 

毎日酷使する「目」。外的要因は工夫次第で減らすことができますので、少しでも早い対策を。



「ドライマウス・ドライアイ」の原因を知ろう

更年期におけるドライマウスやドライアイの原因は、女性ホルモン「エストロゲン」が減少することによって生じます。

 

エストロゲンには・妊娠に関わる働き・自律神経を活発にする・肌や粘膜の潤いを保つ・代謝を助ける・骨や血管を強くする、脳細胞の老化を防ぐなど、全身の健康や美しさに関わる働きがあります(更年期障害の基礎知識)。

 

この働きにより、特に思春期から成熟期にかけて女性らしい美しさや健康がサポートされていました。しかし40代に入るとエストロゲン分泌量は急激に低下し、そのサポートが十分に受けられなくなってしまうのです。

 

その結果、唾液や涙の分泌量が低下し「ドライマウス」や「ドライアイ」が引き起こされてしまいます。

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「ドライマウス・ドライアイ」のケア対策

想像もつかなかった乾燥感にみまわれる更年期。

 

更年期の粘膜の乾燥は、女性ホルモン「エストロゲン」の減少によって引き起こされます。日常生活に支障を来すほどであれば我慢しないで婦人科を受診してみましょう。

 

食生活を意識する

女性ホルモン「エストロゲン」と似た働きをする食材があることはよく知られています。食事バランスを見直し、これらの食材を意識して普段の食事に取り入れてみましょう。

 

食事バランスガイドの図

出典:農林水産省WEBサイト

【豆類】
「エストロゲン」とよく似た構造を持つといわれる「大豆イソフラボン」。腸内細菌によって糖がはがされて体内に吸収されます。
◆大豆イソフラボンを含む主な食品:大豆、納豆、味噌、豆腐、豆乳、きな粉など
【ゴマ、ライ麦】
ゴマやライ麦に含まれる「リグナン」。腸内細菌によって「エストロゲン」に似た作用を持つ成分へと変化するとされています。
◆リグナンを含む食品:ゴマ、ゴマ油、ライ麦、アマニなど
【ヨーグルト】
「大豆イソフラボン」も「リグナン」も決め手は腸内細菌。良好な腸内環境を目指しましょう。
【粘膜を保護する食材も積極的に!】
◆ビタミンA(β-カロテン):ほうれん草、春菊、小松菜、ワカメ、にんじんなど

 

サプリメントを活用する

仕事・子育て・親の介護など、まだまだ忙しい現代の更年期女性。食事でコントロールすることが難しい場合は、サプリメントの活用も一つの手段です。自分にあった信頼できるサプリメントを選んで

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ホルモン補充療法(HRT)を受ける

減少した女性ホルモンを継続的に維持することで症状の改善を図ります。

 

婦人科を受診します。治療薬には、飲み薬・貼り薬・塗り薬の3種類があり保険が適用されます。治療中は定期的に通院して検診を受ける必要があります。ホルモン量を継続的に維持することで、閉経後の骨粗しょう症などを予防する効果もあります。

 

プラセンタ注射を受ける

医療用のプラセンタ注射には更年期症状の治療を目的に保険が適用されます。定期的な医療機関の受診が必要です。

 

漢方薬で和らげる

漢方は、その人の体質に合わせて症状を調和させることで不調を和らげます

 

更年期障害に正しく対応するためには漢方医の診断を受けて正しく服用するのが良いようです。医療機関で処方される漢方薬には保険が適用されます。

 

ホルモンを意識した生活を……

更年期に女性ホルモンを意識することは、言ってみれば洗顔後の肌に化粧水や美容液を浸透させるのと同じくらい自然なことではないでしょうか。顔のお手入れと同様に、体のお手入れも必要になる更年期。体の状態に合わせて自分に合ったお手入れ方法を探してみてください

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