たった一つの小さな細胞「受精卵」から成り立つ私たちの体。神秘に満ちたその受精卵が細胞分裂を繰り返し、およそ10カ月で赤ちゃんとしてこの世に誕生します。

 

まさに神秘としか言いようがありませんね。受精卵から数を増やした細胞は、骨の細胞になって「骨」という物質をつくりだしたり、皮膚の細胞になって「コラーゲン」という物質をつくりだしたりします。

 

さてさて、「更年期以降はバランスのとれた栄養素を細胞一つ一つに届けよう!」ということですが、もちろんバランスのとれた栄養素はいつの年代も必要です。が、とりわけ更年期以降はその必要があるのです。

 

更年期女性の体の変化

閉経をはさんだ10年間は「更年期」といわれて、初潮を迎えた「思春期」と同じく、体が大きく変化する時期です。でも残念なことは、思春期にはプラスにはたらいた変化が、更年期にはマイナスにはたらいてしまうことです。

 

その要因となるのが「エストロゲン」。妊娠にかかわるはたらきを持つ女性ホルモンです。40代に入ると急激に分泌量を減少させ、ほとんど分泌がされなくなると閉経を迎えます(更年期の基礎知識)。

 

エストロゲンの役割

エストロゲンは、私たちが妊娠・出産に耐えられるように丈夫な心身をサポートしてくれていました。ところが残念なことに、分泌がされなくなってしまうことでそのはたらきが低下してしまうのです。

【エストロゲンの働き】
  • 妊娠に備え子宮内膜を増殖させる
  • 自律神経を活発にする
  • 肌や髪、粘膜の潤いを保つ
  • 代謝を助ける
  • 骨や血管を丈夫にする
  • 脳神経の老化を防ぐ など……
【働きが低下すると……】
  • 自律神経が不安定になりイライラや不安感、意欲の低下などが起きやすくなる
  • 肌や髪の潤いが不足してシワなどになりやすくなる
  • 粘膜が乾燥してドライアイ、ドライマウス、膣の乾燥などが起こりやすくなる
  • 骨がもろくなり骨粗しょう症などになりやすくなる
  • 血管が老化して動脈硬化などが起こりやすくなる など……

バランスのとれた栄養素が必要な理由

たとえば骨の細胞のはたらきをみてみましょう。

 

「骨」という物質は、わたしたちが摂取した栄養素をもとに骨の細胞がつくりだしますが、一度できあがった骨は一生そのままなのではなく、常に新しい骨へとつくりかえられています。「古くなった骨を壊す細胞」と「新しい骨をつくる細胞」がバランス良くはたらいています。

 

さて、女性ホルモンであるエストロゲンには「骨を丈夫にする」というはたらきがありますが、これはエストロゲン自体が骨を丈夫にするのではなく、「新しい骨をつくる細胞を活性化させるはたらきがある」のです。

 

ところがエストロゲンが減ってしまうと、新しい骨をつくる細胞のはたらきが弱まり、骨をつくることが追いつかずに、骨粗しょう症を引き起こしてしまうかもしれないのです。

 

それを防ぐためにはどうしたらよいのでしょうか。私たちができることは、骨をつくるのに十分な栄養素を摂取することと、細胞の健康に必要な栄養素を摂取すること。これが更年期以降の課題なのです。

 

 

バランスのとれた栄養素とは

「骨をつくるならカルシウムね」と牛乳ばかり飲むのではなく、いろいろな食材からバランスよく栄養素を摂取することが一番効果的です。要はチームワークですね。

 

骨は、カルシウム、リン、マグネシウム、タンパク質などが原料となって構成されているし、カルシウムの吸収を助けるビタミンDも必要です。骨をつくる細胞も健康でなくてはいけないし、摂取した栄養素を細胞に運ぶ毛細血管も健康でなくてはいけません。

 

一つの栄養素を多量に摂取することによって、悪影響を受けてしまう栄養素がもしかしたらいるかもしれない。バランスが一番大事なのです。

 

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五大栄養素

学生の時に習った「五大栄養素」を覚えていますか?

 

◆炭水化物・・・「エネルギーのもとになる」

◆脂質・・・「エネルギーのもとになる」「体をつくるもとになる」

◆タンパク質・・・「エネルギーのもとになる」「体をつくるもとになる」「体の調子を整える」

◆ミネラル・・・「体をつくるもとになる」「体の調子を整える」

◆ビタミン・・・「体の調子を整える」

 

 

確かに習った記憶はあるけれど、「正直さっぱり分かりません」というのが本音ですよね? 「ご飯と、肉・魚、野菜・果物を食べとけばいいのかしら?」という感じ。それに「どれだけ」食べるのかがよく分からない。そこで↓↓↓

 

食事バランスガイド

生活習慣病の予防を目的に、国の行政機関で作成されました。難しいことは抜きで、「何を」「どれだけ」食べればいいのかが感覚的に分かりやすくて私は気に入っています。これを参考にすれば五大栄養素がバランスよく摂取できるということでしょう。毎日の献立を考えるときに意識していますね。

 

例えば、「今日はしょうが焼きだから、味噌汁の具は豆腐じゃなくて野菜にしよう」とか、「焼き魚だから、サラダにはゆで卵つけようかな」とか、「乳製品が足りなそうだから、トーストにチーズのっけとこうか」とか。本当にちょっとしたことですけれど、ずいぶん役に立っています。簡単なのでおすすめです。

 

食事バランスガイドの図

出典:農林水産省Webサイト

農林水産省のWEBサイトからダウンロードできます↑↑↑

 

細胞の一つ一つに栄養素を届ける毛細血管

摂取した栄養素は、全身に張り巡らされた毛細血管を通って一つ一つの細胞に届けられます。毛細血管が健康であれば、体のすみずみの細胞まで栄養素を運ぶことができます。

 

ところが、ここでも更年期のリスクが存在してしまいます。女性ホルモン「エストロゲン」には、血管を丈夫にするはたらきがあり、血管をしなやかにして、スムーズな血流を促してくれているのです。エストロゲンの分泌がほとんどされなくなると、このようなサポートが受けられなってしまいます。

 

それに加え、更年期には自律神経が乱れがちになります。自律神経の乱れは毛細血管を退化させ、やがては消失させてしまうことにもなるのです。

 

このようなリスクから私たち更年期の体を守るためには、バランスの取れた栄養素を摂取して、健康な毛細血管や細胞を維持することがなにより大切なのです。

 

 

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