更年期の女性の多くが経験している「ホットフラッシュ」。家庭や職場の理解を得にくいというのが最も大きな特徴ではないでしょうか。

 

それゆえに我慢を重ねてしまいがちです。しかし慢性化すれば日常生活や仕事に大きな影響を及ぼしかねません。熱感によって頭がぼーっとしたり、多汗が気になって集中力を欠いたり

 

思うように家事や仕事が進まないことに精神的負担を抱えてしまわないように、対策をしっかりととることが大切です。

 

「ホットフラッシュ」の症状と対処法

更年期障害の症状の中でも多くの人が経験するという「ホットフラッシュ」。「のぼせ」「ほてり」「止まらない汗」が主な症状です。

 

突然顔や体が熱くなってのぼせた状態になったり、玉のような汗が吹き出して止まらなくなったりします。

 

のぼせ・ほてり

突然顔や頭が熱くなるのが「のぼせ」。体全体が熱くなるのが「ほてり」です。

 

体温を一定に保つ働きが失われている状態で、血管の拡張や収縮の調整機能に異常が起きています。「頭痛」「吐き気」「めまい」などを伴う場合もあります。

 

 

のぼせ・ほてりの対処法

自律神経の乱れからくる「のぼせ」「ほてり」の熱感は、たとえ体を冷やしてもすぐに収まるものではありません。逆に不調を招いてしまうことにもなりまかねませんので、体を冷やすことはせずに熱感だけを上手に取りましょう

 

 

◆まずは安静に!

→椅子に座るなどして安静にします。「暑いだけだから」と軽視してはいけません。外気温によって暑いのではなく、体の異常が原因だからです。

 

 

◆ぬらしたタオルで顔や腕を覆う

→面積の広い顔や腕をぬらしたタオルで覆うことで熱感を取ることができます。

 

このときに注意したいのは、首元や脇の下などにある太い血管を冷やさないこと。体温調節機能が失われている状態なのでさらなる不調の原因になりかねません。上手に熱感だけを取りましょう。

 

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止まらない汗

突然、玉のような汗が吹き出して止まらない症状です。特に頭や上半身から多量の汗をかく人が多く、ベタベタして臭いのある汗が特徴的です。

 

 

止まらない汗の対処法

汗をかくことによって体の熱を放出する役割があります。状況が許せば、無理に汗を止めることはしないほうがいいでしょう。汗がひいたあと体が冷えてしまうと良くないので、着替えなどができるとベター。

 

◆アイテムを活用

とはいえ、通勤途中や仕事中に突然汗だくになるのも困りものです。便利なアイテムがいろいろありますので、こんなアイテムを試してみるのもよいかもしれません。

 

>>>「汗止め帯

 

【ホットフラッシュ対策】
  • 体温調節をしやすい服装を心がけ、こまめに対応できるようにしましょう
  • 汗をかいた後の冷えや臭い対策に、着替えがあれば安心です
  • タオル、ハンカチを多めに準備しておきましょう
  • 着替え後の服や濡れたタオルなどを入れるビニールがあると便利です
  • 水分補給も忘れずに
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「ホットフラッシュ」の原因を知ろう

ホットフラッシュの症状は、自律神経の乱れから生じます。

 

更年期に入ると、卵巣から分泌される女性ホルモン「エストロゲン」が減少して自律神経に悪影響を及ぼします(更年期障害の基礎知識)。

 

自律神経には「体温調節機能」を制御する働きがあり、その働きが乱れることで「ホットフラッシュ」を引き起こすことが分かっています。

 

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◆40代に入ると、出産の役割を終えた卵巣が衰弱して「エストロゲン」の分泌量が急激に低下します。

◆「エストロゲン」の分泌量が低下することで、同じ女性ホルモンである「プロゲステロン」とのバランスが保てなくなります。いわゆるホルモンバランスの乱れです。

◆ホルモンバランスを正常に保つために、脳内の視床下部がエストロゲンの分泌を促しますが、衰弱した卵巣からはエストロゲンを十分に分泌することができません。

◆脳内の視床下部は、ホルモンバランスが正常に保たれるまで指令を出し続けることになります。

◆視床下部には「ホルモンバランス」のほかに「自律神経のバランス」をコントロールする働きもあります。いつまでもバランスが保たれない女性ホルモンに指令を出し続けることで、自律神経が悪影響を受けて自律神経のバランスまでも崩してしまうのです。

◆自律神経には「体の機能を正常に保つ働き」や「精神を安定させる働き」がありますが、自律神経バランスが乱れることによって正常に機能しなくなってしまいます。

◆その結果、「ホットフラッシュ」などの症状が引き起こされる可能性が高まります。

【自律神経の働き】
  • 循環機能の制御
  • 呼吸機能の制御
  • 消化機能の制御
  • 発汗、体温調節機能の制御
  • 内分泌機能の制御
  • 生殖機能の制御
  • 代謝機能の制御
  • 精神安定の制御 など……

「ホットフラッシュ」のケア対策

「汗ぐらい……」と周囲の理解を得られないことも多いですが、数分から数十分にわたり続く発汗による体力的負担ばかりか、集中力が低下し仕事が思うように進まなかったり、突然吹き出す汗によって人と会うことが嫌になってしまうなど精神的負担も大きいものです。

 

女性ホルモン「エストロゲン」の減少によって引き起こされる「ホットフラッシュ」。日常生活に支障を来すほどであれば我慢しないで婦人科を受診してみましょう。

 

食生活を意識する

女性ホルモン「エストロゲン」と似た働きをする食材があることはよく知られています。食事バランスを見直し、これらの食材を意識して普段の食事に取り入れてみましょう。

 

食事バランスガイドの図

出典:農林水産省WEBサイト

【豆類】
「エストロゲン」とよく似た構造を持つといわれる「大豆イソフラボン」。腸内細菌によって糖がはがされて体内に吸収されます。
◆大豆イソフラボンを含む主な食品:大豆、納豆、味噌、豆腐、豆乳、きな粉など
【ゴマ、ライ麦】
ゴマやライ麦に含まれる「リグナン」。腸内細菌によって「エストロゲン」に似た作用を持つ背一分へと変化するとされています。
◆リグナンを含む食品:ゴマ、ゴマ油、ライ麦、アマニなど
【ヨーグルト】
「大豆イソフラボン」も「リグナン」も決め手は腸内細菌。良好な腸内環境を目指しましょう。

 

サプリメントを活用する

仕事・子育て・親の介護など、まだまだ忙しい現代の更年期女性。

 

ただでさえ体調が悪いのに食事に気を配ることなんてできない場合は、サプリメントも一つの手段です。自分にあった信頼できるサプリメントを選んで

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ホルモン補充療法(HRT)を受ける

減少した女性ホルモンを継続的に維持することで症状の改善を図ります。

 

婦人科を受診します。治療薬には、飲み薬・貼り薬・塗り薬の3種類があり保険が適用されます。治療中は定期的に通院して検診を受ける必要があります。ホルモン量を継続的に維持することで、閉経後の骨粗しょう症などを予防する効果もあります。

 

プラセンタ注射を受ける

医療用のプラセンタ注射には更年期症状の治療を目的に保険が適用されます。定期的な医療機関の受診が必要です。

 

漢方薬で和らげる

漢方は、その人の体質に合わせて症状を調和させることで不調を和らげます

 

更年期障害に正しく対応するためには漢方医の診断を受けて正しく服用するのが良いようです。医療機関で処方される漢方薬には保険が適用されます。

 

ホルモンを意識した生活を……

100歳まで生きることも珍しくなくなった現代。自分の体としっかりと向き合い、化粧水や美容液を浸透させるのと同じように、ホルモンバランスを意識的に整えて充実した日々を送りたいですね。

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